ジャン・マルク・ラファージュの真骨頂は、アッサンブラージュ（ブレンド）の技術です。それは、単なるワインのブレンドセンスではありません。ドメーヌが所有する畑は約１７０ha。つまり、広大な畑に多数存在する微気候（ミクロクリマ）に精通しているということ。各テロワールに最適な品種、栽培法、収穫時期の差異などを細かく把握しているのです。単一品種だけに頼らないため、ワインのラインナップは驚くほど多彩。ぶどうの個性がアッサンブラージュによって得られる最良の結果を熟知しているのです。

ドメーヌ・ラファージュが位置するルーション地方は深刻な干ばつに見舞われており、将来もぶどう畑が健全に育つよう、新しい栽培方法を試しています。最も期待できるのは「再生型農業」という取り組みで、堆肥やバイオ炭（特殊な炭）を使ったり、畑に草を生やしたり、段々畑にしたり、動物を放牧したりしています。これにより、ぶどうの木を健康に保ち、安定した収穫量を確保し、ワインに活気とフレッシュさをもたらすことを目指しています。また、雨は干ばつ後の土壌にとって恵みとなり、ぶどうが休眠している期間、カバークロップ（土壌を保護する植物）の成長を助けています。このカバークロップを子羊に食べさせることで、自然な肥料にもなり、動植物の多様性も増しています。

「ラ・コウメット」に使用されるぶどうは、すべて手摘みで収穫されており、畑で一度、さらにセラーの中でもう一度選別されるため、厳しい審査に合格した究極のぶどうのみが使用されています。また、遅摘みされたぶどうから造られるこのワインは、とろけるような舌触りと心地よい甘い余韻が特徴です。

ラングドッグ＆ルーション地方のAOCであるコリウール。酒精強化ワインで知られるAOCバニュルスと同じ地域にありますが、このコリウールは酒精強化されないスティルワインの為のAOC。ピレネー山脈の最も東側に位置し、スペインはもう目と鼻の先。日照に非常に恵まれていて、地中海を見渡せる高台にぶどう畑が広がっています。

2014年のこと、ラファージュ氏が摘み忘れた１区画のぶどうから試しにワインを造ってみたところ驚くべき仕上がりになりました。その経験を活かし、糖度の上がった遅摘みぶどうを使い、圧倒的な凝縮感と濃厚な果実味、仄かな甘味を感じるワインを造っています。他のどれにも似ていない見事なフルボディをお楽しみください。