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どういうワインがフルボディになるの?

ボディとは、ワインのコクや厚み、重み、渋味、力強さを表わします。フルボディとはコクや厚みがあり、タンニンの豊かな力強いワインです。反対に、軽快でフレッシュなものをライトボディ、中間をミディアムボディといいます。樹齢、品種、気候、アルコール度数、製法、熟成の度合いなどによってボディは違ってきますが、一定の決まりや線引きはなく、テイスティングをした人の主観に基づきます。そこで今回は、フルボディを“フル”たらしめる、主な要素についてご説明しましょう。

フルボディの要素1「品種」

果皮が厚く、タンニンが豊富な品種ほどフルボディになるのが一般的です。しかし、収穫時期、漬浸時間、発酵期間、温度、ブレンド、熟成などの製法によって造り分けができるので、フルボディ向きの品種から造るワインが、必ずしもフルボディになるとは限りません。同様に、果皮が薄く、タンニンが控えめな品種でもフルボディに仕上げることがあります。そこで、品種の特性だけを取り上げ、フルボディに向く品種をご紹介しましょう。

フルボディの要素2「産地と気候」

フルボディに必要なより多くの色素とタンニンを抽出するには、ぶどうを完熟にしなければいけません。完熟に導くには、豊富な日照量と温暖な気候が不可欠です。なので、寒冷で日照量が少ない産地では、おおむねフルボディの赤ワインを造るのがむずかしくなります。そこで、ぶどう栽培の北限であるドイツや、フランスのシャンパーニュ地方、ブルゴーニュの北部などの寒冷地では、白ワインやスパークリングワインの方が有名なのです。

フルボディの要素3「アルコール度数」

アルコール度数が高いワインは、飲んだときにボディをはっきり感じられる傾向にあります。ワインの主な内容物は水分で、その次がアルコールです。アルコールは水より高い粘性があるので、コク、つまりボディを感じさせる一番の要素になります。これは、色素やタンニンを多く抽出するために、発酵期間が長い分だけ、アルコール度数が高くなるから。しかしアルコール度数が高ければ高いほど、より一層フルボディになるということではありません。

アルコール度数は、ぶどうの「糖分」がアルコールに変わる「発酵」の度合いによって違ってきます。発酵を充分に行い「糖分」をほとんどアルコールに変えればアルコール度数は高くなり、「糖分」が充分にアルコールに変わらないうちに「発酵」を停止させればアルコール度数は低くなります。

フルボディの要素4「熟成」

発酵を終えたワインはタンクや樽に移され、熟成させます。樽の中でワインを熟成させると、樽の成分がワインに移り、独特のコクと香味が生まれます。樽熟期間の長さ、樽の新しさ、樽に使うオーク材の産地などで、ボディを調整します。フレンチオークはワインをスパイシーに、アメリカンオークは甘い香りにする傾向にあるともいわれています。新酒をはじめ、樽熟成させないワインが若々しく爽やかな味わい(ライトボディ)なのはそのためですね。

フルボディの要素5
フルボディ=「アルコール度数の高い樽熟成させた高級ワイン」ではない!

ボルドーの高級ワインにフルボディが多いので、フルボディ=高級というイメージが定着してしまっているようです。しかし同じ高級でも、ブルゴーニュにはとても繊細でタンニンがおだやかなものもあれば、反対にアルコール度数が低くてもどっしりしたタイプのものもあります。また、新世界のお手頃なワインの中には、アルコール度数が高くても、非常になめらかでするすると飲めるワインもありますね。ひと口にフルボディといっても、その幅は広く、味わいは実に多彩。“フルボディとはこういうワインだ!”という思いは捨てて、自由にワインを楽しみ、ご自身なりの“フルボディ値”を見つけてくださいね!

記事監修

講師:磧本修二先生

講師:磧本修二先生
1972年渡仏、1975年にソムリエ資格を取得した後、老舗ホテルであるホテルニューオータニなどで活躍するなど日本のソムリエの第一人者のひとりとして知られます。東京・六本木に店を構える、老舗ワインレストラン『ミスタースタンプス・ワインガーデン』のオーナーソムリエとして40年以上のキャリアを持ち、豊富なワイン知識と、ユーモアあふれる語り口で人気を集めています。

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