LESSON#060
続:お家で飲むワインを、
もっと楽しく!もっと美味しく!
レストランやバルで味わうように、お家でもワインを楽しみたい。
ワインの上手な保管方法やグラスの選び方など、知っておくと何かと役立つ豆知識をご紹介します。
講師:磧本修二先生
伝統あるワイン・レストランのオーナーソムリエ。ワインに関する知識はもちろん、食の知識も豊富。
「奥深いワインの世界をわかりやすくご紹介します」。
銘柄を確かめる、ラベルの読み方
ワインをスムーズに理解するため、ラベルの読み方を知ろう!
ラベルには商品名や産地・品種などいろいろな情報が詰まっており、読み方が分かれば、ワインを買う時や飲む前にある程度の情報を知ることができます。また、「新世界」や「旧世界」でも特徴が違います。
新世界ワイン
アメリカ、オーストラリア、チリなど
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① 商品名
造り手が独自に付けるワインの名前で醸造所の名前やブランド名など様々あります。
新世界のワインは比較的自由に表記している場合が多いです。 -
② ぶどう品種名
新世界ワインでは、単一品種で製造され、品種が大きく表記されることが多くあります。品種が分かりやすいため、選びやすいイメージのワインとなります。 -
③ 産地名
ワインが造られた国や地名。新世界には、アメリカ・オーストラリア・チリなど、多種多様で旧世界に比べて自由なワイン造りが行われています。気候や土壌により、同じブドウ品種でも味が変わってくるので、お気に入りの産地は覚えておくと便利です。 -
④ ヴィンテージ
ワインの原料となるブドウが収穫された年。表記がなかったり、NV(ノンヴィンテージ)という複数の年のブドウをブレンドしている場合もあります。 -
⑤ アルコール度数
ワインのアルコールの強さの指標で、ボディの大きさの基準にあることもあります。発酵が進むにつれ度数の高いワインになります。
旧世界ワイン
フランス、イタリア、スペインなど
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① 造り手名
ワインの醸造所や実際にワインを造る人など、生産者の名前。自社畑で栽培したブドウを自家醸造するワインメーカーも多く、そのメーカー名が表示されることもあります。表記は、シャトー〇〇、ドメーヌ~〇〇、〇〇ワイナリーなどがあります。 -
② ヴィンテージ
NVのシャンパーニュ以外は、基本的に明記が必要で、当たり年・外れ年を見分ける指標にも使われます。 -
③ 産地名
国名、地方名、村名、畑名など、表示の仕方は様々です。テロノワールの意識が高く、より限定された地域が記載されているほど、格が高いのが特徴です。 -
④ アルコール度数
旧世界は、伝統的な手法で繊細な味わいに仕上げるため、アルコール度数が高すぎないワインが多い。ブドウの糖度の発酵具合がアルコールに関わるため、ブドウ品種の違いのほか、ブルゴーニュのように冷涼な産地ではアルコール度数は穏やかになる傾向があります。
ワインに合わせてグラスを選ぶ
美味しさを引き立たせる適切なグラスを選びましょう。
今回は、赤ワインを楽しむためのグラス特集です。
醸造の段階で果皮を漬け込んだりと、手間をかけるため、風味の要素が多い赤ワインでは、より大ぶりのグラスを使うことが多いと言われており、産地や品種のキャラクターでワイングラスを選ぶことも美味しく味わうポイントです。
ボルドー タイプ
芳醇な香りを解きほぐし果実味をふくらませる
ゆるやかな大きなボウルで口先が少し内側にカーブし、香りが少しずつこもりやすい形状が特長。良質な長期熟成タイプの赤ワインに最適で、ワインが舌の上でサイドに広がり厚みのあるボディを感じつつ、渋味を和らげます。
バーガンディ タイプ
香りを立たせ、ボウル内に閉じ込める
ブルゴーニュ地域圏のことを英語で「バーガンディ」と呼ぶことからワイングラスにおいても同一表現となります。 底が大きく広がったグラスデザインは、ワインを口の中の適切な場所に広げてくれます。
キャンティ タイプ
赤・白どちらにも使いやすいサイズ&デザイン
縦長でしっかりとしたすぼまりが特長のスタンダードなボウル形状。ワインが舌先から直線的に舌の中央に流れ込み、果実味と酸味のバランスを調和させます。赤・白・ロゼなど幅広いワインに適しています。
ピノノワール タイプ
アロマを引き出し果実味と酸味を調和させる
素早く立ち昇る香りを逃がさないように、包み込むような形状が特長。酸味がやや強いブルゴーニュワインが、直接酸味を感じる舌の両端に流れ込まないようになっています。
カベルネ・ソーヴィニヨン タイプ
カベルネを楽しめる王道タイプのグラス
大きな縦型のすぼまりの緩い形のグラスで香りがふんわりと立ち上がり、適量のワインが舌の中央へ流れ込むため、タンニンがまろやかに感じられ、渋味のある濃厚な味わいのカベルネ・ソーヴィニヨンにお勧めです。
ワインは生き物!?
長期熟成と上手く付き合うためには
長く楽しむためにワインを知ってうまく対処するコツをつかもう。
コツ① コルクがボロボロになる!?
天然のコルクは、乾燥するともろくなったり収縮します。劣化すると抜栓しにくくなるだけでなく、酸化したり、ワインの香味も損ねてしまいます。ワインの保存には湿気が重要で、飲む直前なら構いませんが、冷蔵庫内は乾燥しているので保存には向きません。ボトルを寝かせて常にコルクを湿っている状態にするか、もしくはボトルを新聞紙などでくるんで乾燥を防ぎ、温度変化の少ない冷暗所などで保管しましょう。包む際はマジックで品種やボトル名を書いておくと探すときにも便利です。
コルクの劣化は長く月日が経っている高級ワインにも多く見られますが、保存の仕方でも劣化の度合いが変わってきます。劣化すると抜栓時にテクニックが必要なため、少しでも大事に扱いたい所です。
コツ② ワインに変なニオイがする!?
ワインの不快臭の大半はコルク不良による「ブショネ」が原因で、天然コルクは植物なので、悪い菌が潜んでいる可能性があります。すると、瓶内で化学反応が起こり、ワインを変質させてしまうのです。湿った段ボールのような不快な香りで、世界のワイン全生産量の5%はブショネに当たるといわれています。程度にはかなり差があり、実はそうではない場合もあるので、判別法をお教えしましょう。
判別方法は…
まずワインを注いで2分ほど放置し、スワリングして空気を含ませます。さらに2分ほど待って、再びワインの香りを確認します。ブショネであれば、より一層ニオイが強くなっているはずです。
コツ③ 瓶口にカビが付いていた!
安心してください、基本飲めます。ワインセラーは地下にあることが多く、カビが発生する環境と同様にワインにとっては、暗くジメっとした地下の環境が理想的な保存環境だからなのです。どちらも温度15℃前後、湿度75%前後。ワイナリーによっては、ボトルにカビが付くのを良しとする習慣もあるほど。もし、瓶口やコルクにカビが付いていても、ティッシュや乾いた布で拭き取れば問題なくお楽しみいただけます。
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