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ヌーヴォーだけじゃないボジョレーのワイン

ボジョレーといえばすぐに思いつくのが「ヌーヴォー(新酒)」ですが、ボジョレーのワインはそれだけじゃありません!ヌーヴォー以外にも上質なワインをたくさん造っています。ワイン造りの歴史は2000年以上前にもさかのぼり、13のアペラシオンがあります。そこで今回は、日本で一番有名で、かつ一番知られていないであろうボジョレーワインについてお話しましょう。

ブルゴーニュの主要ワイン産地

ボジョレー地区は、ブルゴーニュ地方にあるワイン産地です。品種は赤がガメイ、白はシャルドネだけを使い、赤・白・ロゼが認められています。ボジョレー地区以外の大勢のワイン生産者がボジョレーにワインを買いに来るほどで、ブルゴーニュ全域AOCのワイン造りに、ボジョレーのぶどうは欠かせません。事実、ボジョレーを除く5地区のぶどう畑の面積が約25,900haなのに対し、ボジョレーは1地区で約22,400ha。ボジョレーはブルゴーニュワインの屋台骨を支えているといっても過言ではありませんよ。

ヌーヴォーは全生産量の約3割

ボジョレー・ヌーヴォーは生産量のほぼ半分が世界中に輸出されていて、日本が最大の輸出先です。しかし、ヌーヴォーの生産量はボジョレーの全生産量の3割ほどしかありません、ボジョレー地区で造られるワインには、ACボジョレー、ACボジョレー・シュペリュール、ACボジョレー・ヴィラージュと、10村のクリュ・デュ・ボジョレーがあり、クリュ・デュ・ボジョレーとACボジョレー・シュペリュールは、ガメイ種の赤のみが認められています。ヌーヴォーとはまったく違う長熟型のワインがたくさん造られています。
ボジョレーはヌーヴォーだけでなく長熟型ワインもたくさんあります。

豊富な土壌・多彩なテロワール

「小さなトスカーナ」とも称される風光明媚なボジョレーには、25種類もの土壌が複雑に入り組んでいます。夏は酷暑で、冬は厳寒。春に適度に雨が降り、収穫期の秋は小春日和という、ぶどう栽培に理想的な気候条件です。また、フランスでもっとも傾斜のあるワイン産地のため、日当たりに恵まれているのはもちろん、傾斜地に機械が入れないため、畑ではほとんど手作業です。農家1軒あたりの栽培面積は約9.8haと、人の目と手が隅々まで届く広さ。丹念に手塩にかけて造られたワインたちなのです。

ボジョレー流の全房発酵

赤ワインの場合、収穫されたぶどうは選果後に除梗や破砕を一切せず、そのままどんどん発酵槽に入れられます。これは全房発酵と呼ばれ、ボジョレーワインの9割を占める典型的な醸造方法です。槽の中でぶどうが自体の重みで潰れていき、果汁のかさが上がります。すると果汁に果皮が浸されて(スキンコンタクト)、充分な色、タンニン、果実味が抽出されるのです。これは、果皮が薄く、タンニンも控えめなガメイ種ならではの醸造法。除梗や破砕を行う方法は、「ブルゴーニュ式」と呼ばれています。

ボジョレーのガメイは素晴らしい!

ガメイ栽培面積:ガメイ栽培で世界の半分の耕作面積を誇るボジョレーは古樹が多いのが特長。 世界のガメイの栽培面積は、約36,000ha。そのうちボジョレーのガメイは約17,000haで、なんと世界の半分近くにあたります。19世紀末に害虫フィロキセラに襲われるまで、ガメイはフランス全土で栽培されていましたが、現在はボジョレーと、ロワールやローヌ、ジュラ地方の一部のみとなりました。そのため、ボジョレーのガメイには古樹が多いのが特長です。クリュ・デュ・ボジョレーではガメイを100%使い、ブルゴーニュのコート・ドールの村名ワインにも引けを取らない高貴な味わいを生み出しています。

記事監修

講師:磧本修二先生

講師:磧本修二先生
1972年渡仏、1975年にソムリエ資格を取得した後、老舗ホテルであるホテルニューオータニなどで活躍するなど日本のソムリエの第一人者のひとりとして知られます。東京・六本木に店を構える、老舗ワインレストラン『ミスタースタンプス・ワインガーデン』のオーナーソムリエとして40年以上のキャリアを持ち、豊富なワイン知識と、ユーモアあふれる語り口で人気を集めています。

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