世界のクリスマス料理とワイン
今年もいよいよ年末。パーティーなども多いシーズンですが、最大のイベントと言ったらやはりクリスマス。そこで今回のテーマは“世界のクリスマスとワイン”。料理とワインの相性は、その土地の食材とその土地のワインが抜群。世界各国より、その国や地域ならではの風習やクリスマス料理とワインのマリアージュをご紹介します。
フランス
年に一度、家族全員が集まるクリスマス。イブのディナーは「レヴェイヨン」と呼ばれ、早くは夕方から、食前酒とおつまみのアペロが始まります。前菜、メインディッシュからデザートまで時間をかけてゆっくり楽しむのがフランス流。夜通しのディナーは、クリスマスの昼まで続くことも!

オードブル
アペリティフとシャンパンから始まって、前菜には伝統的なご馳走が並びます。海鮮盛り合わせは、よく冷えたシャブリなどと。太古には海だったという地層から育まれたミネラルと海鮮の相性が抜群なのです。
メインディッシュ

シャポン(去勢した大きな雄の鶏)のローストが人気で、ブレス地方のものが有名です。肉は白く、脂肪が入って格別の美味しさ。鶏肉なので凝縮感のある白ワインや軽い赤ワインと相性がよく、特に産地が近い、ブルゴーニュの赤ワイン、ピノ・ノワールとはよく合います。

イタリア
イブをメインに祝う地方もありますが、中部イタリアのフィレンツェでは25日のクリスマスランチで盛大にお祝いします。前菜(アンティパスト)からパスタ料理、メインディッシュ、デザートというように、コース料理とそれに合わせたワインを存分に味わいます。

プリモ~セコンド・ピアット(メイン)
フィレンツェのクリスマス料理の主役と言えばカッポーネ(去勢した雄の鶏肉)です。メインは丸ゆでや詰め物をしたロースト。そのブロード(出汁)にひき肉を包んだパスタ、トルテッリーニを入れたひと皿がプリモとなります。ワインは、繊細な香りにアーモンド香も残る地元の白ワイン、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ。鶏肉はもちろん、オリーブオイル料理との相性も抜群なのです。
ドルチェ(デザート)

お決まりはパネトーネ。レーズンやドライフルーツを混ぜて焼かれたリッチなケーキパン。甘口のモスカートなどとよく合わせます。
スペイン
イブのクリスマスディナーから、翌日の遅めのランチまで、とにかく食べる飲むの家族団欒が続きます。メイン料理は地域によって様々ですが、各地の郷土料理の特別バージョンが並びます。冬らしく煮込みやスープ仕立てのものも。

ガリシア地方
大西洋に面し、海の幸が豊富なガリシア。毛足ガニ、ロブスターなどの甲殻類やタコのガリシア風、メインにはタラの料理などがポピュラーです。
カタルーニャ地方

伝統的なクリスマススープとして知られるエスクデャ。豚や鶏、牛すね、野菜、豆などを贅沢にじっくり煮込んだスープです。イブのディナーには貝殻型のパスタを入れた「ガレッツスープ」に。肉や魚料理と並ぶご馳走です。
アメリカ合衆国
クリスマスにはレストランがすべて閉まってしまうため、家族や親戚たちと集まってホームパーティーが主流。招待客も、サラダやデザート、お酒などを持ち寄り、テーブルには豪華な料理がたくさん並びます。

メインディッシュ
定番料理というと、七面鳥のローストがメイン、と思われがちですが、実は11月の感謝祭のメインメニューが七面鳥料理のため、クリスマスの主役はロースト・ビーフやハムにすることも。もちろん、サイドメニューにはチキンも登場します。料理に合わせるワインも、その時々により様々。ロースト・ビーフの肉の脂肪分や味わいを楽しめるタンニンがしっかりしたカベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワインや、身が締まった七面鳥にはソノマのシャルドネもよく合うでしょう。
オーストラリア
サンタがサーフボードに乗ってやってくるオーストラリア。クリスマス・ハムのローストも伝統的ですが、冷たいサラダとともに欠かせないのがシーフードです。

メインディッシュ
日本と逆の季節で真夏のオーストラリアでは、エビや牡蠣、スモークサーモンなど冷たいメニューが多く登場します。甲殻類と相性抜群なのは、ボディもあり、きれいな果実味のある白ワイン。オーストラリア産のシャルドネやセミヨンが定番です。
ニュージーランド
ニュージーランドのクリスマスは、夏の長期休暇も含まれているので、夏を最大限に満喫。ビーチでくつろいだり、アウトドアで楽しむスタイルが人気です。

メインディッシュ
大勢で集まる、“バービー”と呼ばれるバーベキューはクリスマスの定番の一つ。海に囲まれ、ソーヴィニヨン・ブランで有名なエリア、マールボロでは、採れたての魚介類、クレイフィッシュやグリーンマッスル、キングサーモンなどが人気。爽やかな酸があり、ハーブや柑橘がくっきり感じられるニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランが抜群の相性です。
日本

クリスマスといえば定番の「ロースト・チキン」。ワインを合わせるなら調味料をポイントに選んでみましょう。例えば、ローズマリーやハーブ、ニンニクの風味で味付けしたら、ハーブの香りを引き立てるソーヴィニヨン・ブランの白ワインを。ハチミツや砂糖、しょうゆを使った甘めのタレには、軽くてやや酸味のある赤ワインがおすすめです。
記事監修

講師:磧本修二先生
1972年渡仏、1975年にソムリエ資格を取得した後、老舗ホテルであるホテルニューオータニなどで活躍するなど日本のソムリエの第一人者のひとりとして知られます。東京・六本木に店を構える、老舗ワインレストラン『ミスタースタンプス・ワインガーデン』のオーナーソムリエとして40年以上のキャリアを持ち、豊富なワイン知識と、ユーモアあふれる語り口で人気を集めています。
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